私は昭和30年農家の長女として生まれ、町内の金融機関に勤めたのち、昭和52年、縁あって農家の長男のもとに嫁ぎました。そして気がつけば農業と関わるようになって40年。夫との二人三脚で頑張ってきました。よいパートナーに恵まれたおかげだと思います。
現在、長男夫婦とともに落葉果樹を栽培する専業農家として多忙な日々を送っています。
昭和61年内子町知的農村塾が開塾されました。私も夫も塾生となりました。「農業を取り巻く環境は厳しい、そんな時代だからこそ農業を知的産業ととらえ小規模農地でも経営できる高収入の作目の導入、加工商品化、農産物の価値を高める売り方や労働条件の改善、そして余暇時間を生み出し、趣味や地域文化活動に生かす、土づくり、環境にやさしい農業、女性の活躍できる農業」など書き尽くせないほどの多くのことを専門分野の講師から学びました。塾生となって学んだことは、私自身の生活面や我が家の農業に生かされてくるのです。
今思うと夫婦で共に学び、話題が共有できたことがよかったと思います。
平成元年、それまで栽培していた葉たばこをやめ、雨よけハウスでぶどう「ピオーネ」の栽培をはじめました。堆肥による土づくりを基本とし、化学肥料及び化学合成農薬を、内子町栽培基準の3~5割以上削減した「エコ内子(内子町特別栽培農産物)」の栽培に取り組んでいます。定期的に土壌診断も行っています。ぶどうの品種も「ピオーネ」を中心として、「黄玉」、「瀬戸ジャイアンツ」、「翠峰」、「シャインマスカット」、「ブラックビート」、「安芸クイーン」、「リザマート」など品種も増やしていきました。町の直売所に出荷と個人販売をしています。また、「ベリーA」、「マスカット」は町内の酒造会社へリキュールの原料として卸しています。また最近では、東京のマルシェにも発送し、大きな房と粒が好評です。
柿については、品種の見直しを行い、品質のよいものを効率よく作るために平棚栽培や園内道を設置し、防除や除草に機械を導入し、省力化に取り組んでいます。袋かけ柿も作っており、県のブランド「媛のふゆ」としてJAを通して市場に出荷されています。
また健康志向からブルーベリー栽培も約10年前から始め、早生から晩生、大粒など品種を選定しています。そして小さなハウスにはネギが出荷を待っています。
平成9年から平成16年まで議会推薦で農業委員をすることになりました。農業も男女共同参画が進められており、家族経営協定の締結、認定農業者にもなりました。平成19年には愛媛県農業指導士となり、現在Iターンのご夫婦の研修を受け入れています。しなやかな女性の目線で農業経営を分析するのも大切かもしれません。
また、平成17年内子グリーンツーリズム協会が設立されたときに会員となり、地域の皆さんとこんにゃく体験他、そば打ち体験、地元のお豆腐屋さんと一緒に豆腐づくり体験、夏には閉校した学校を利用して都市の子どもたちの体験を受け入れています。ドラム缶風呂に、伝統の食文化、子どもたちに本物の味を伝えています。
生活研究連絡会、JA女性部の会員でもあり、また道の駅「からり」の農産加工施設「アグリベンチャー21」にも籍を置き、餅、総菜など仲間とともに内子町の特産品づくりに頑張っています。調理師の免許も取りました。人と人との出会い交流が私のエネルギーとなっています。
もちろん趣味の水彩画、おはなし会での絵本のよみきかせボランティアも今まで通りしていきたいと思います。
健康を維持しながら、新しいことに挑戦しつづけること。必要とされる人材でありつづけたいと思います。
現在、地域の新しい特産品づくりとして、うりの奈良漬けに挑戦中です。
背伸びをせず、身の丈にあった活動をしていきたいと思います。