#10
阿部 和馬

えひめ農林水産アンバサダー

阿部 和馬

さん

伝統的な素潜り漁をおこなう海士(あまし)の阿部さん。祖父の代から3代続く海士の家系で自身も海の世界へ飛び込みました。

活動地域:

伊方町三崎地区

就労理由:

家業を継ぐかたち

主な作目

ある1日のスケジュール

スケジュール

面積

設備

漁船

ウェットスーツなど

雇用

自営業

「半島の豊かな漁場と“三崎の海士”という文化を
受け継ぎたいと思った」

就業のきっかけを教えて!

祖父の代から3代続く海士の家系です。祖父や父から「継いでほしい」と言われた事はないけど、幼いころから漁船に乗せてもらったりして海に親しんでいたので自然と背中を追うようになりました。
特に印象的な出来事が中学三年生の時のこと。父の素潜り漁に同行して、海の中の世界やそこで働く父や仲間の海士たちの姿を見て圧倒されました。こんな世界があるんだと。自分も少しサザエが獲れたり。それだけでも自分にとっては刺激的な経験でしたが、その日の晩に父から「これ、今日お前が獲った分」とお金を渡されたんです。「ああ、自分がやったことがこうしてお金になるんだ」と嬉しく思ったのと同時に、「こんなに面白いことが仕事としてやれるなら海士にならない手はない!」と本格的に海士を自分の進路として考えるようになりました。

就業までにどんな準備をしてきた?

漁師の気質なのかもしれませんが、「こうするんよ、ああするんよ」と手取り足取り教えてもらえることは少なかったです。まずはこの子は見込みがあるぞ…と周りに認めてもらえるように一生懸命でした。文章だけで見ると冷たいように思うかもしれないですが、みなさん実はなんだかんだ新人や若手のことをよく見てくれていています(笑)
言葉にあまりしないだけで、感覚値というか共通認識みたいなものを見せて教えてくれます。そうやって代々技術が継承されてきたんだと思います。

就業してからのプライベートの過ごし方は?

僕は海が好きだから仕事と趣味が一緒になってしまっているような感じです。獲るものによるけど海士の漁期は1年の内で約10カ月。自分で働き方のペースはある程度調節できます。禁漁期には一本釣りや陸でのアルバイト等をしている人もいるし、専業漁師だからお休みする人もいますね。
自然相手の仕事な分、規則正しい生活になるので夕方には大概家に着いています。家族との時間が取りやすいのはいいところだと思います。特にうちの子たちはバスケをしているので送り迎えをしたり、試合を観に行ったり。子どもの成長は一瞬なので、それを傍で見守る時間を多くとれるのは良いことだと思います。

これからの夢は?

今、全国各地で磯焼けと資源の減少が問題になっています。原因は気候変動だけではなく、人間の獲りすぎも影響しています。そんな中で三崎の海が藻場残存率を高い水準でキープし、貴重な資源が残っているのはやはりこの半島の環境が非常に恵まれていることと、先人たちがそれらとうまく付き合い共存してきたからに他なりません。
だから、それを僕たちが私利私欲のために都合よく扱って荒らすようなことがあってはいけません。現在若手が中心となって藻場保全や資源保護について学びながら、環境変化に準ずる漁期の見直しやより厳しい漁獲制限の設定などを行い「いかにして三崎の海の豊かさを守るか」をみんなで考え実践しています。赤ウニのブランド化への取り組みもそのひとつです。自分が好きで選んだ仕事だから、責任をもって次世代に繋げるようにしたいと強く思います。

素潜り漁は特殊な仕事だと思います。
町の大切な産業であり、文化的な要素もある。
だからこそ少しでも良い状態で次世代に繋ぎ、後世に残していきたいと強く思っています。
海の中で漁をしていると、毎日生きている、生かされている実感が湧いてきます。
身体が資本の仕事なのでキツいと感じる人もいるかもしれません。でもそこは自分の心の持ちようだと思います。自然をこの身体にめいっぱい感じることや自分がやった分だけ返ってくること、自分の仕事で誰かを喜ばせたり感動させられる事に価値や豊かさを見出せる人であれば、飽きることは無いと思います。
毎日同じ海に潜るけれど、昨日と同じだったことはただの一度もありません。毎日違う表情を見せてくれる海と、僕はいつまでも真剣に向き合い続けたいです!

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