
えひめ農林水産アンバサダー
沖野 順一
さん
Uターンし、実家の米農家を継ぐ形で就農した沖野さん。父の“農家としての勘”を受け継ぐ為に、スマート農業を取り入れた2代目です。
活動地域:
大洲
就労理由:
家業を継ぐかたち

ある1日のスケジュール
面積
16ha+
(作業受託)
10ha
設備
直進操舵田植え機
ドローン
トラクターなど
雇用
なし
「田んぼのある風景を
これから先も守りたい」
就業のきっかけを教えて!
父親が米農家で、僕はその長男。小学生の頃からトラクターに乗せてもらうこともあり、割と農業が身近な存在でした。地元の農業高校に進学して、整備士、営業職としばらく企業で働いていました。あまりかっこいい理由ではないかもしれませんが、サラリーマンが嫌になった二十代半ばの頃、父親から「堤防工事で田畑を移転することになった。将来お前が継ぐなら移転を機に倉庫を大きくするけどどうする?」と話を持ち掛けられました。これも何かのタイミングだと感じ、思い切って就農しました。

就業までにどんな準備をしてきた?
準備という準備はなかったかもしれません。父親が現役なので、一緒に仕事をしながら身に着けていくスタイルでした。
うちは、圃場管理も請け負っているんですが、父親の頭にはその全ての位置と生育状況が入っています。一方で僕にはさっぱり。父親の手書きの地図を持って田畑を行ったり来たりしていました。そんな時、“農家の勘”をデータ管理しようと考え、クラウド管理システムを導入。これが僕のスマート農業の始まりです。
その後は直進操舵田植え機や、農業用ドローン、トラクターなどシステムと連動させられる農業機材を揃えていきました。

就業してからのプライベートの過ごし方は?
スマート農業に切替え、ランニングコストはかかりますが、時間や手間が省けたと感じています。仕事後でも子どもたちにめいっぱいお父さんとして接してあげられる体力も残せるようになりました(笑)
実際、父親と2人で1時間半かかっていた田んぼの防除作業は、同じ面積でもドローンだとものの5分で完了。働き方に投資している、そんな感覚かもしれません。
また、周りとは違ったことをしたいと考え、「米食味鑑定士」、「お米ソムリエ」、「白米ソムリエ」といった資格取得もしました。

これからの夢は?
実現したいことは3つ。
まず、1つ目は法人化すること。雇用を生み出せたらベストです。
2つ目は、圃場管理の規模拡大。田畑をまるっとお任せいただくパターンや、防除作業など特定の作業を委託いただくパターンもあります。体力的な問題でリタイアする人も多い業界なので、対応できるキャパを広げて田園風景を残したいと考えています。
また、3つ目は「稲工房 案山子」としての活動を頑張りたいこと。現在は杵つき餅や、ポン菓子、米粉クッキーなどの商品がありますが、今後は日持ちするラインナップにも挑戦したいですね。


スマート農業は、システムがなにもかも管理してくれて任せきりで良い、というわけではありません。あくまでも「農家の勘が数値化されて、実感とデータを照合しながら検証・追求していくもの」だと思っています。
自然相手の仕事に正解はないからこそ、一つの頼れる指針になりますし、時間や手間が省けた分、他のことに挑戦しやすい部分はあると思います。
特にこれからの世代はデジタルネイティブな人たちですから、スマート農業にも向いていそうですよね。