宇都宮 裕也

幼少期から父親の漁船に乗せてもらっていました。それこそ初めはお手伝い感覚で、だからなんとなくずっと「海の仕事がしたい」と思っていたんです。高校卒業後は、船の学校に通いました。そのまま就職してタグボートやフェリーの船員として働きました。10年くらい経って、子育てを自然豊かな地元・三瓶でしたいと考えるようになり、Uターン。そのタイミングで漁師になりました。

船員として働いていたので、漁船の操作はハードルが低かったです。また、父親が現役漁師なので、仕掛けのつくり方や漁船選びなどノウハウを教わることができる環境なのも心強いですね。
特に延なわ漁は4,000ｍのメインラインに約600個の針が付いた仕掛けを使います。休漁期間に仕掛けを作って、日々使いながらメンテナンスをする必要があります。仕掛けは漁師の手作りになるので、こういった技術面の習得は周りの先輩漁師に頼りながら、自分の経験と掛け合わせて試行錯誤しています。
初期投資は正直かなりかかりました。当時は自分に該当する補助金がなくて、少しヘビーでしたね。現在は県や各自治体のサポートも幾分か手厚くなっていると思うので、活用してみるのも手だと思います。

年の半分は狙う魚の性質もあり、夜間に漁へ出ています。休みといえば海が時化ている日。僕の場合は時化ている時でも「これを試したい！」「あの場所で漁してみたい！」と出ていくこともあるんですけど…(笑)
でもあらかじめ休みを設定することもあるし、家族との時間は増えたと思います。息子は毎日のように堤防釣りに行くので、僕の血を感じますね。子どもたちが自然に触れて、めいっぱい楽しんでいる様子を見ていると、やっぱり三瓶に戻ってきて良かったなと思います。

漁師をメインとしつつ、遊漁船の事業も続けていくことです。遊漁船は、太刀魚の水揚げ量が減少して8月～10月の収入が安定しなくなったことを受けて始めました。その期間はお客さんを連れて沖へ行き、釣りを楽しんでもらうことが僕の仕事です。
僕自身、稚魚や狙っていない魚種まで必要以上に獲りすぎる漁はあまりしたくないと考えています。混獲が少ない延なわ漁を選んだのもそれが理由のひとつです。なるべく傷つけずに品質の高い魚をお届けできるようにこれからも頑張りたいです。