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公開日

2023/02/13

~罠の設置~ シカの捕獲について

(角擦り跡)





~罠の設置~ シカの捕獲について(四国中央市富郷地区)

 愛くるしい見た目のシカですが、近年ニホンジカによる農林水産物への被害が深刻化しております。それだけではなく、車との接触事故が発生するなど人身被害も広がっております。そうした現状の中、今回、シカの捕獲効率向上を目的とした調査業務に同行しましたので、普段目にする機会の少ない、罠の設置などの紹介を行います。今回の罠の設置は、わな猟の免許所持者が狩猟期間内(愛媛県ではニホンジカは、11月1日~3月15日)に狩猟者登録を行い、法定猟具を用いて適正に行った内容です。



 ・1025日 事前調査


 どこに罠を設置すると効率が良いか、現地へ赴きシカの痕跡を探します。痕跡とは具体的に、糞や足跡、角を擦った跡などです。あまり知られておりませんが、シカの角は毎年生え変わります。角擦りは雄シカの発情期におけるマーキング行動と考えられており、時期に関しては秋頃が該当します。そのため、林内には折れた角が散見されました。また、糞の湿り具合から、最近のものかどうかも判別できるようです。

(獣道)



 ・1110日 くくり罠の設置


1.罠設置箇所を選ぶ

 くくり罠を埋設するための場所を選定します。樹間が狭くなっている場所など、シカが通る可能性の高い場所を探します。

(林内を歩き適地を探している様子)



2.罠を設置する

 設置箇所が自然に見えるように枯葉や土、枝などを被せる。野生動物は警戒心が強く、出来るだけ自然に見せる必要があります。また、同行させて頂いた猟師の方からは、洗剤や柔軟剤といった香りが残りやすいものにも気を遣っているとのことでした。

(罠を設置している様子)

(枯葉などで覆った様子)



3.罠を踏みやすくする

 罠の手前に、枝などの障害物を配置し、跨いだ後に罠を踏むようにします。こうす
ることで罠にかかりやすくするだけでなく、人間が誤って罠を踏んでしまう事を防いでいるとのことでした。今回同行させていただいた猟師さんは、罠を枝で四角に囲んでいました。



4.記録用のカメラを設置

 センサーカメラを設置し、シカが実際にいるかどうかを含め記録・観察をします。

(センサーカメラ)

(センサーカメラに映ったシカ)



〇結果について


 シカは数頭捕獲できたものの、センサーカメラに映った個体は少なかったです。これは、気温の関係や餌場を求め移動している事が関係していると考えられます。今回はあくまで調査目的の罠の設置でしたが、シカを捕獲しやすくするために、多くの工夫がされていました。野生動物と人間との知恵比べともいえる作業は大変手間のかかるものであり、ぜひ多くの方に知って頂き理解を深めて欲しいと思います。



*捕獲されたシカの画像は割愛させていただきます*

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